Unread

Unread(未読)を既読に

森見作品を読むと、彼に影響を受けた文しか書けなくなる病気に、有効な治療法は無い。

まだ日が高い。午後2時とは気温が最も高くなる時刻であり、世間では昼食をとってしまった人々が睡魔に負ける時でもある。サラリーマン社会ではコーヒーというアイテムを使って眠気に抗うらしいが、限界効用逓減の法則の従って、カフェインは日に日に意味を為さなくなるようだ。

私は昨日、午後11時に床についた。これは良い子で言うところの午後9時に相当すると思ってもらって相違ない。普段なら午前2時に眠り午後2時に目覚める体質を持つ私も、こんなに早く寝てしまっては、日の出と共に起きてしまうのも無理は無かった。

従って、今日は随分長い間、太陽の光を浴びている。吸血鬼なら瞬間で灼かれてしまう太陽光も、人間は物ともしない。ただ、暑い。暑い日には家にこもって、クーラーに文明を感じながら、暇をつぶすのが礼儀である。しかし、すでに起床してから随分な時が流れた。暇をつぶすにも限度がある。やるかたない怒りが胸にこみ上げるが、自らつくり出したルールに縛られて怒るとは、どうしようもない人間である。

人間、暇を突き詰めていくと生産的なことがしたくなる。かの千反田えるの言葉――目的なき日々は生産的じゃありません――が思い起こされる。私の目的とは何か。私には何十年もの伝統がある文集も、その文集を作るための予算も無い。誰か私に伝統と名目を寄越してくれ。そうして、私の時間は空費される。