インクについて学ぼう!水性・油性の違いは?染料・顔料?ゲルインク?
どうも、ジョンです!
万年筆を使うようになってインクの違いを意識するようになったのですが、よく考えると水性と油性の違いをちゃんと学んだことがない!しかも万年筆には染料インク・顔料インクなんていう、ボールペンでは聞き馴染みのないワードも出てきて混乱中です。
そんなわけで今回は改めて「水性・油性」「染料・顔料」など、インクについて学んでみたいと思います。
そもそもインクは何でできている?
水性や油性について言及する前に、まずインクは何でできているか考えたことってありますか?各社色んな工夫を凝らしているため細かくは言えませんが、大雑把に言うと「溶剤」と「着色剤」で出来ています。
そしてこの「溶剤」と「着色剤」こそが水性・油性、染料・顔料という分類につながるのです。
水性・油性、染料・顔料の関係
表にまとめると以下の通りです。
説明しましょう。
まず溶剤が「水」の場合、これを「水性」と呼びます。一方溶剤が「揮発性有機溶剤」の場合、これを「油性」と呼ぶのです。
次に着色剤です。溶剤に溶ける着色剤が「染料」、溶けずに混ざるだけの着色剤が「顔料」になります。
組み合わせ的には、
- 油性×染料
- 油性×顔料
- 水性×染料
- 水性×顔料
という組み合わせが存在することになるんですね!知らなかった。
溶剤による特徴
油性
まず水性と比べると乾きが早いですね。アルコール消毒液を思い浮かべるとわかりやすいのですが、揮発性が高いのですぐ乾きます。
次に紙以外のガラスやプラスチック等にも乗りやすいのが特徴です。しかし物によっては溶かしてしまうことがあるので注意が必要。
油性に使われる着色剤は染料であっても顔料であっても、基本的には耐水性があります。
粘度も高いものが多いですね。
水性
鮮やかな発色が特徴で、基本的には紙にしか書けません。
油性に比べると裏うつりしにくく、臭いもあまりしないのが特徴ですね。
着色剤による特徴
染料
染料は溶剤に溶けているので、紙などに浸透して色を付けます。鮮やかさや透明感はありますが、水性×染料の場合、簡単に流れていってしまうので耐水性はありません。また、光にも弱いので耐光性も✕です。
生産側としては新たな色を作りやすいというメリットもあるようですね。
顔料
顔料は溶剤に溶けないので、他の成分をつかって表面に固着するようになっています。そのためクッキリとした色が得意で、水性・油性に限らず耐水性・耐光性に優れているようです。
万年筆のインクは何×何?
万年筆のインクはすべて水性です。油性は粘度が高いので万年筆ではうまく機能しないためだと思われます。なので万年筆のインクでは「水性」と呼ぶことはとりたててなく、着色剤の違いのみで「染料インク」「顔料インク」と呼ぶのでしょう。
ちなみに伝統的な万年筆インク、いわゆる「古典インク」は染料なのですが鉄が含まれているので、長い間置いておくと染料は褪せて黒い鉄だけが残るという仕組みになっています。いわゆるブルーブラックとはもともと暗めの青ではなく、最初はブルーだったものが、時間経過によってブラックになるということを表していたそうです。
今では古典インクは様々な理由からほとんどなくなり、耐水性の弱い染料インクになっています。ユーザーの要望から最近は耐水性のある顔料インクも出ているので、使い分けたいところですね。
新油性やゲルインクって?
ところで最近では新油性やゲルインクという種類も耳にしますよね。これはどういうことなんでしょう?
新油性
ボールペンのスタンダードになりつつある三菱鉛筆の「ジェットストリーム」をはじめとして、PILOT「アクロボール」ZEBRA「スラリ」ぺんてる「ビクーニャ」などに搭載されているインクが新油性と呼ばれています。
これらは従来の油性ボールペンにありがちな粘度による書き味の重さや、かすれなどを大幅に改善したものになっているようです。低粘度油性とも呼ばれています。
ちなみに僕がこの前買ったフィールに搭載されていたビクーニャインキは着色剤が染料&顔料というものでした。メーカーもいろんなものを作っているんですね。
ゲルインク
ゲルインクは油性・水性でいくと「水性」になります。着色剤も染料・顔料どちらもあるようで、ゲルインクは水性インクにくくられるもののようです。
大きな違いは添加剤としてゲル化剤が入っているところ。これによって通常は粘度が高く、筆記時には粘度が低くなる特殊な特徴を持ち、にじみが少なく濃い発色が得られるといういいとこ取りなインクになっています。
僕が好きなPILOTの「juice」シリーズも、ゲルインクボールペンでした。
インクは奥が深い
今回は大雑把に溶剤と染色剤による違いを見ました。しかし実際は各メーカーが添加剤や原料、製法に工夫を凝らすことで細かな違いを生み出しています。実にインクの世界は奥が深いことが入り口を覗くだけでわかってしまったので、中に立ち入る際は注意しましょう!
それでは!