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偉大なる"寺田寅彦の目"(和辻哲郎著「寺田寅彦」)

寺田寅彦

どうも、ジョンです!

寺田寅彦猛プッシュ中の青空文庫カテゴリですが、少し趣向を変えて、寺田寅彦の著作ではなく寺田寅彦について書かれている著作を読んでみました。

和辻哲郎の「寺田寅彦」です。

 

 

和辻哲郎とは?

内容の前に、寺田寅彦について語る和辻哲郎とはどんな人なのでしょうか。

Wikipediaによると、

和辻 哲郎(わつじ てつろう、1889年3月1日 - 1960年12月26日)は、日本の哲学者、倫理学者、文化史家、日本思想史家。『古寺巡礼』『風土』などの著作で知られ、その倫理学の体系は和辻倫理学と呼ばれる。日本倫理学会会員。

とのこと。

寺田寅彦との関係は夏目漱石の木曜会仲間。特に木曜会のなかでも学者仲間でした。その関係で寺田寅彦と親交があるんですね。

 

寺田寅彦のwikiによると、寺田寅彦は木曜会のなかでも最古参であり敬われていたとあり、この随筆もまた寺田寅彦への尊敬の念をもって書かれています。

 

寺田寅彦の視点

寺田さんは最も日常的な事柄のうちに無限に多くの不思議を見出した。我々は寺田さんの随筆を読むことにより寺田さんの目をもって身辺を見廻すことができる。そのとき我々の世界は実に不思議に充ちた世界になる。 

私たちが普段当たり前に感じていること、気にも留めないことを寺田寅彦は不思議に思って追求すると書かれています。

たしかに満員電車にのっても普通「混んでるな、鬱陶しい」くらいにしか思わないのですが、寺田寅彦は「なぜ混むのか?(逆になぜ空くのか)」などの考察を始めます。

 

日常に不思議を見出す“寺田寅彦の目”は、学者のみならず、何をするにも重要です。特に創造性を発揮しなければならない、ありとあらゆる事柄に必要な視点ですよね。

 

西洋の学者の掘り散らした跡へ遥々遅ればせに鉱石のかけらを捜しに行くのもいいが、我々の脚元に埋もれてゐる宝を忘れてはならないと思ふ。 

と語った寺田寅彦。このセンテンスはそのままの意味にも捉えられますし、なんらかの比喩表現にも聞こえるのです。

たとえば「才能」や「財産」も実は自分の脚元にすでにあるのではないかということを考えるきっかけにもなれば、ブルーオーシャン・レッドオーシャンの話にも聞こえるのです。

 

特にこの随筆の面白いところは、“寺田寅彦の目”を褒める和辻哲郎もまた偉大な学者であり、学者でない人が褒めるのとはまた違ったより一層深い尊敬をここに感じるというところです。

 

今後寺田寅彦の随筆を読むにあたって、寺田寅彦はどこに不思議を見出しているのかという視点にも注目していきたいですね!

 

それでは。

 

 

寺田寅彦

寺田寅彦