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笑ってはいけない寺田寅彦(寺田寅彦著「笑い」)

笑い

どうも、ジョンです!

思考停止のチョイスで、思考しまくる寺田寅彦の文章を読むことにしているこの頃。今回は「笑い」を読みました。

 

 

「笑い」概要

Amazon内容紹介によると、

子供の頃からどういうわけか笑うべきでない時にかぎってつい笑ってしまう癖のあることについて綴ったものである。病院での診察時、親類に不幸があった時など、なぜこういった時に限り「笑い」たくなるのか、さまざまな視点から考察している。

 

寺田寅彦は自分のことを病弱で、健康な人とは違うと認識しています。そのため、自分の不可解な「笑い」が普遍的なものなのか、特殊なものなのか判断がつかないがという前置きをしています。

 

ところで、その部分でこんな一節が。

簡単なラテン語の名前のつくような病気にはかかっていない時でも、なんとなしに自分のからだをやっかいな荷物に感じない日はまれである。ただ習慣のおかげでそれのはっきりした自覚を引きずり歩かないというだけである。それで自分は、ちょうど色盲の人に赤緑の色の観念が欠けているように、健康なからだに普通な安易な心持ちを思料する事ができないのではないかと思う事もある。 

もはや不健康が日常になってしまっているわけですが、ありますよね、これ!ヒトはよくできていて、自分の異常さを気にし続けると狂ってしまうので、まったく意識にのぼらないようになるんですよね。

その性質のせいで、自分のよくない習慣も日常になってしまうのが難点でもあります。

 

寺田寅彦の笑ってはいけないシリーズ

  • 病院で診察されているとき
  • 親類に不幸があったとき

などなど。通常では笑うようなところではないところで、ついこらえきれない笑いに襲われるんだそうです。

逆に「いったい私にとっては笑うべき事と笑う事とはどうもうまく一致しなかった」と述べているように、みんなが笑う場面ではむしろ薄ら寒さを感じたりしています。

 

笑いとは?

断続的の緊張弛緩の交代が、生理的に「笑い」の現象と密接な類似をもっている。

結局ここに行き着いたという感じ。現代ではお笑い芸人がよく「笑いは緊張と緩和」といいますが、寺田寅彦の分析でも同じようなことになっています。そして、寺田寅彦が読んだというアンリ・ベルクソンの「笑い」でも、やはり緊張弛緩に触れられているのです。

 

これがよくわかるのが、寺田寅彦が診察で笑ってしまうときに、

ところが医者のほうは案外いつも平気でいっしょに笑ってくれたりする。そうすると、もう手離しで笑ってもいいという安心を感じると同時に、笑いたい感覚はすうと一時に消滅してしまうのである。

となっていて、緊張がなくなってしまうと笑いもなくなってしまうのでした。

 

笑おう

まったく着地点がわからなくなってきました。

それにしても、笑うという行為そのものは非常に健康に良いのです。列挙するのものためらわれるほど数多く、心身に良い影響を及ぼすことがわかっているので、笑っていい場面では積極的に笑っていきたいですね。

 

それでは!