地球はまるいけど、まるくない。まるくないけど、まるい(中谷宇吉郎著「地球の円い話」)
ゆとり教育の導入で話題になった円周率。結局のところ3.14が3になったというのはデマだったわけですが、そもそもなぜ3.14まで必要なのかを考えるきっかけになりました。
今回はそんなことにも繋がる作品。中谷宇吉郎著「地球の円い話」です。
中谷宇吉郎 地球の円い話(青空文庫)
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地球はまるい?
「地球はまるい」と唱えたのはピタゴラスだったかエラトステネスだったか、はたまたトスカネリか。最初に唱えた人はわからなくても、今や地球がまるいと知らない人はいませんよね。
しかし突き詰めていけば、実際は楕円だとか凹凸があるよねって話にもなります。
ところがこれらの色々の説明の中で、一番真に近いのは、結局小学生の答えであって、地球は完全に円い球であると思うのが、一般の人々にとっては一番本当なのである。
そう、我々にとって、地球はまるいというのが真実です。え?どういうことかって?読んでみてください。読んですぐのところなので。ヒントは「コンパスで描く」です。
意味のある数字
いままさに数学に取り組んでらっしゃる学生さんのみならず、僕たちのまわりには数字が溢れていますよね。特に社会人になって数字の大切さが身にしみるなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さて有効数字という概念があります。理科系科目で触れたことのある人おいるでしょうが、測定値として意味のある数字、桁のことを指します。各分野によってこれは変わってきます。しかしこと物理において著者はこう述べています。
それは大抵の物理的性質は、三桁位の精度で分れば、それで充分であるということと、人智の極致をつくした精密な測定が、殆んど例外なく六桁で止っているということである。
科学技術も日進月歩ですので、現在この考え方はどうなんでしょう。とあるレビュアーはだから円周率は3でなく3.14が良いとおっしゃっていましたが、すべての場合においてそうとは限らないでしょうね。
どこまで掘り下げるか
細部にこだわって全体が見えていない人っていませんか?お恥ずかしながら僕がそうです。まずは本質的なことから取り組まなければならないのは当たり前ですが、意外と忘れてたりするんですよね。
この作品は意外と、本当に重要なものは何かと問いかけてきているようにも思えます。
地球のまるさからそんなことを考えてみるのも一興ですね。