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「自分の好きなものを自由に描いてください」

勉強嫌いな人の話はよく聞く。数学が嫌いで授業中は居眠りしてたとかそんな話は枚挙にいとまがない。翻って美術とか音楽が嫌いみたいな話はそんなに聞いたことがない。まあもちろん居ないことはないけどどちらかと言えば少数派なイメージが強い。

そんな前振りをする私は美術とか図工が苦手だった。技術的な面でへただとかセンスがないとかいうこともそうだけど、一番苦手だったのはテーマを決めることだ。大抵はなにかテーマがあって絵を描くなりなんなりするものだが、たまに「今日は自分の好きなものを描いてください」みたいな日がある。そうなってしまうとお手上げで、みんなが何やら線を引いたり色を塗ったりする中自分だけは真っ白な紙を見つめて何もできずにいたことを覚えている。

人に言われたことしか出来ないというのもその通りだし、何か正解があるような気がしてしまうのである。正解が見つけられないから始められない。いざ、描き始めても自分の描いているものは正しいのかと考えてしまうので遅々として進まないのだ。

 

人生についても同じことが言える。人生はいわば「自由に生きてみなさい」ということを言われているようなもの。前述の例に従えば、人生の正解があるような気がしていて、自分の生き方はどれも間違っているような気がしているのだ。

もちろん理屈の上で、正解なんてないんだと生き方は十人十色なんだとわかっていても、心が納得していない。自分の決定に自信を持てない。だから「世間的に一定の評価を得られることがしたくなる」のだ。でもそれは別に自分のしたいことでも何でもない。自信が持てないくせに自分のやりたいことがしたくて、でもそんな人生は間違っているような気がしているから全力で突き進めないのではないだろうか。

 

自身に満ち溢れた人間になりたい。