プラツトフオオム!(岸田國士著「走るノート」)
青空文庫にノートの取り方みたいな実用的なものはないかと検索をかけました。そんなものは無かった上、ノートともあまり関係のない作品ばかりが出てきて、うまくいかないものですね。
紹介するのは岸田國士著「走るノート」です。
岸田國士 走るノート(青空文庫)
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演劇に殉じた男
著者の岸田國士(きしだ くにお)[1890-1954]は一度は陸軍に入りながらも、文学と演劇のためにそれを離れ父親に勘当された劇作家・演出家です。自分の人生を賭したいほどのことが見つかるというのは、幸福なことですね。大政翼賛会の文化部長をしていたためGHQにより公職追放を受けています。
プラツトフオオム!
母親が帰郷したいというからそれならと受けた講演旅行。しかし諸事情で母親がいけなくなった。だからといって断れない講演旅行に著者が行く話です。これといった場面はありませんが、笑ってしまったのがここ。
阪神急行電鉄の西宮北口駅に興味を抱いた著者はいいます。
そして、あの風車のやうなプラツトフオオム!
ここだけめちゃくちゃ叫んでる気がして、しばらく笑いが止まりませんでした。
冷静になると「プラットフォーム!」と書いているだけなのですが、個人的には「プラットフォオオオオオオオオム!!!!」くらいに見えたのです。
ちなみに西宮北口駅は阪神じゃなくて阪急ではとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。阪神急行電鉄は阪神電気鉄道とは別の会社で、阪急電鉄の神宝線の部分をつくった会社です。いまはもうありません。
宝塚歌劇団
私は幸にして、まだ少女歌劇というものを見たことがないのである。そして、ここでもまた見ないつもりである。
少女歌劇とは女性のみで行われる歌劇です。著者は宝塚ホテルに宿をとったと書いていますから、ここでいう少女歌劇は宝塚歌劇団のことでしょう。
軽く調べてみても少女歌劇を避けるような差別的偏見が見つけられなかったので、著者の信念的なものかもしれません。劇作家ですから。
個人的には熱狂的なファンのいるものには必ず魅力があるはずなので、一度拝見したいと思っているのですが、いまだに願い叶わずです。今後も叶う予定が無さそうで、関西人としてはUSJにすら行ってない始末ですから、ましてや演劇には生きている間にいけるのか怪しいものです。