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あなた虎になってません?(中島敦著「山月記」)

はじめてこの作品に教科書で出会ったとき自分の内側を覗かれているような錯覚に飲まれ、衝撃を受けました。以来折にふれて何度も読み返しています。

中島敦著「山月記」です。

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中島敦 山月記(青空文庫)

Amazon.co.jp: 山月記 電子書籍: 中島 敦: Kindleストア

 半端者への戒め

李徴の自嘲的な発言には僕たちが心に留めておくべき台詞が多くあります。

己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。

 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。

彼は「俺はやればできるんだよ。本気出せばすごいんだ」という典型的な口だけのタイプ。経験がありますが、そういうときって自分でちょっと練習してみたりするんですよ。でも当然あんまりうまくいかない。うまくいかなかったらそれには価値がないと言ってみることもざらです。

そんなことをしていては結局のところ何も成すことができませんね。

 

朗読も良い

個人的に「良い文章は声に出すと気持ちいい」と考えています。なので山月記の朗読は大好物です。たまに自分でも声に出して読んでみるのですが、黙読するよりも内容が頭に入ってくるような気さえします。

 

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人気の山月記

多感な時期に触れるからか多くの人に愛されています。

なので「『山月記』の李徴はなぜ虎になったのか - Togetterまとめ」といった考察が起こったり、論文などのテーマに据えられることも。

僕が大好きな作家である森見登美彦氏が著した「新釈 走れメロス 他四篇」の中にも山月記があり、新たな世界観で山月記が蘇っています。これがまた面白く、京都の大学生の話なのでもっと身近に山月記を感じられるかもしれません。

 

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)

 

 

新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)

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