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愛が重い(寺田寅彦著「夏目漱石先生の追憶」)

夏目漱石先生の追憶

どうも、ジョンです!

自分のなかで勝手に「寺田寅彦集中期間」が始まっているので、今日も今日とて寺田寅彦です。特に寺田寅彦は夏目漱石との親交が深かったので「夏目漱石先生の追憶」を読みました。

 

 

「夏目漱石先生の追憶」とは?

寺田寅彦が親交の深かった夏目漱石の人柄や思い出話を綴ってある随筆です。

Wikipediaでは、

漱石の元に集う弟子たちの中でも最古参に位置し、科学や西洋音楽など寅彦が得意とする分野では漱石が教えを請うこともあって、弟子ではなく対等の友人として扱われていたと思われるフシもあり、それは門弟との面会日だった木曜日以外にも夏目邸を訪問していたことなどから推察できる。 

とあるように、二人の間柄はかなり特別。この随筆でもかなり親密であることがうかがい知れます。

 

寺田寅彦の尊敬

さきほどのWikipediaでは「対等の友人として扱われていたと思われるフシもあり」と書いてありますが、寺田寅彦の"夏目漱石先生"に対する尊敬は並々ならぬものがあります。

 

先生の死後に出て来たノートの中に「Tのすしの食い方」と覚え書きのしてあったのは、この時のことらしい。

ある時夏目漱石に寿司に連れて行ってもらった寺田寅彦は、自分でも無意識のうちに夏目漱石の食べるのを真似てしまっていたそうです。よく交際しているカップルは、二人のうち、より好意の大きい方がもう一方に似ていくという話があります。寺田寅彦の夏目漱石への尊敬の大きさが見て取れるエピソードですね。

 

寺田寅彦、押しかけすぎ問題

あることがきっかけで、夏目漱石の家を初めて訪ねた寺田寅彦。このとき俳句について色々と質問し、自分でも作ってみたことから寺田寅彦の通いが始まります。

その後色々場所や時代が移り変わっても、ずっと夏目漱石の家に通い続け、忙しいと言われてもごねて居座り、いわゆる木曜会が発足しても、

木曜日が面会日ときまってからも、何かと理屈をつけては他の週日にもおしかけて行ってお邪魔をした。 

 とあるように通っており、ちょっと常軌を逸して夏目漱石が好き過ぎるきらいがあります。

 

ちなみに好きすぎて「書生にしてください」とお願いしたこともある寺田寅彦ですが、「物置が明るい」と通された物置がマジで汚い物置だったので日和ってやめたというエピソードも。

 

寺田寅彦の愛が重い。

 

このエッセイの最後には、夏目漱石への思いが溢れ出した文章が並んでおり、

先生というものの存在そのものが心の糧となり医薬となるのであった。 

と書いてしまうほど、夏目漱石の存在が寺田寅彦のなかでいかに大きかったのかをうかがい知ることが出来ます。

 

さいごに 

寺田寅彦の見てきた夏目漱石の思い出に触れることで、こちらも夏目漱石の人柄に触れることのできる随筆です。一度読んでみることをおすすめします。

 

 

夏目漱石先生の追憶

夏目漱石先生の追憶