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楽しく数学への興味が湧く!「浜村渚の計算ノート」感想

浜村渚の計算ノート (講談社文庫)

どうも、ジョンです!

「そして生活はつづく」に続きKindleセール本を読みました。その名も「浜村渚の計算ノート」。ご存知のかたも多いかな?

 

 

「浜村渚の計算ノート」とは?

講談社Birthの受賞作で現在は講談社文庫より刊行中の、ミステリー小説です。著者は早稲田大学クイズ研究会OBの青柳碧人さん。

 

作品の舞台は、こころの教育が重視された結果、芸術科目などが幅を利かせ、数学をはじめとした理数系科目は肩身が狭くなった時代。とある数学教授が教育ソフトを通じて日本国民に暗示を刷り込み、国民を人質にした数学テロが始まってしまう。その対策本部に救世主として呼ばれたのが、数学好きの中学生女子・浜村渚だった……

 

こんな具合に数学を軸にした小説です。テロの内容は数学に関連しているため、数学がないがしろにされている新しい教育を受けた人たちにはテロを止めることができないという設定。そこで浜村渚が数学知識をつかって解決していくのです。

 

一見数学嫌いは楽しめそうにない内容。しかし実際は数学嫌いこそ楽しめる内容です。というか逆に数学好きや理系の方は、テロ組織側にもされているわけで、やや不快に感じる場面もなきにしもあらず。

 

「浜村渚の計算ノート」はシリーズになっていて、2017年5月現在は7巻まで刊行されています。1巻は冒頭で述べたようにセール中で、270円です。やすい!

 

数学雑学がたまっていく

作中の世界では数学好きしか数学テロを食い止められません。が、現実のように普通に数学を習ってても数学好き解けないでしょう。なぜなら教科書には載ってないことで解くパターンがほとんどだからです。

 

その代わりと言ってはなんですが、この本をよむと数学の雑学を積むことができます。実際僕が線を引いた箇所はほとんど雑学部分です。

 

たとえば最初のテロだと、

「はい。四色問題です」 「よんしょくもんだい?」 「ちょっと前に読んだ本に書いてありました。どんな地図でも、四色あれば、隣り合う国が同じ色にならないように塗り分けることが出来る」 

こんな感じでテロが四色問題(すでに証明されているため現在は四色定理と呼ぶ)の実証であると渚ちゃんが気付くのです。

四色定理とかおそらく教科書には載ってないので、数学好きじゃないと知らないって人も多いのではないでしょうか。僕もそういえば聞いたことあるようなくらいの遠い記憶にしかありません。

 

あとはフィボナッチ数列がなんのことかわかったり、三次方程式の解の公式を見つけた人がわかったり、実際はその人が見つけたわけじゃないとわかったりもします。

とにかく数学マニアの登場人物が出てきて、目をキラキラさせながら(想像ですが)喋っているのを見ると、こちらも感化されてしまいますね!

 

この一言わかる〜〜〜

上の四色問題のところで、アメリカ帰りプライド青天井の警察官がこう言います。

そんなの、当たり前だろう? 

これに対して浜村渚は、

当たり前?証明できます? 

わかる〜〜〜!

 

似たような話で、僕が大学時代受けた心理学の教授がこんなことを言っていました。

「(素人が専門家の話を聞く時)他の学問はみんな感心したように話を聞くけど、心理学に対しては経験があるから意見してくる」

別に盲目的に専門家の話にうなずくのが良いわけでは決してありません。でも新しい知見とかに対して「は?そんなの当たり前でしょ?前から知ってたわー」的な態度とる人おおすぎません???

人の振り見て我が振り直せ。自分も気をつけます。

 

数学世界への扉を開きたい方に

ちょっと設定は突飛でリアリティは薄れてしまいますが、この解決がしたかったがために物語があると考えれば納得の範疇です。もしあなたがライトノベル読者ならすんなり入ってくるでしょう。

この小説を読んでるだけで、数学への知的好奇心がくすぐられるのでちょっと扉を開けてみたいなって方はご一読ください。

 

それでは!