気味の悪さがたまらない(江戸川乱歩著「人間椅子」)
ネタバレありです。
江戸川乱歩 人間椅子(青空文庫)
人間椅子(Kindleストア)
- ==== 読む前の想像
- 気持ち悪さがこみ上げる
- ラストの解釈
読む前の想像
前回がエドガー・アラン・ポーだったので、今回は江戸川乱歩という安直な発想で申し訳ありません。
さてこの「人間椅子」という作品、名前だけは聞いたことがあったのですが実際どういうお話かは1ミリも知りませんでした。それはそれで初見の楽しみがあるので良いものですが。
やはり「人間椅子」というタイトルがあまりにも強烈なため、読む前から色々と想像してしまいます。僕の脳裏に浮かんだのはアニメ「PSYCHO-PASS」。アニメの中で人間の死体を芸術作品のように飾るという犯罪者がいたのですが、そこからの連想で人間をバラバラにして人間で椅子を作る芸術家なのではと思ったのです。
読んでみるとまったく違いましたね。
気持ち悪さがこみ上げる
ある芸術家として知られる婦人のもとにきた、長い手紙。それは罪の告白でした。
ある椅子職人が人が入れる椅子を作り出し、最初は盗みが目的だったものの次第に女性への歪んだ愛へと変わり……最後には婦人の使用している椅子がまさにそれだという衝撃。
読んでいる途中で「あれ?これって……うわ……」となりました。作中に登場するような高級な椅子じゃないのにも関わらず自分の椅子をつい確認しちゃいましたよ。
ラストの解釈
その告白の後、追って同一人物から手紙が届き「前のは創作です。いかがでしたか?」という手紙が届きます。でもこれってどっちだと思います?
素直に受け取るなら「ああ、創作だったんだ。安心安心」ですよね。
でもあのリアリティある手紙ですから、この手紙がウソなんじゃないかと僕は思います。犯人(あえてこう呼びます)は実際に「会いたい」という手紙を出したはいいけど、怖くなったんじゃないでしょうか。
たとえばメールかなんかで告白したとして返事が怖くなって「今の冗談!」とか「友達が勝手に送信した」とか言い訳したことありません?もしくはそういうやつ居ましたよね。
それと同じ気持ちで、犯人は婦人に拒絶されるのを恐れて「創作でした」と手紙を出したんじゃないでしょうか。
と色々解釈できる点がこの作品の良いところでもあります。「人間椅子 解釈」で検索してみるとそんな視点もあったかと感心させられるばかりです。