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幸せなのは飼い犬?野良犬?(小川未明著「青い石とメダル」)

日本児童文学の父とも称される小川未明の「青い石とメダル」を読みます。

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小川未明 青い石とメダル(青空文庫)

青い石とメダル(kindle)

あらすじ

勇ちゃんにはかわいがっている犬がいました。その犬は野良犬のクロ。畜犬票のない犬は犬ころしに捕まってしまうので、勇ちゃんはクロが心配でたまりません。母に頼んでも父に頼んでも家で飼うことを許してもらえません。そんなある日友人の徳ちゃんが持っていたのは古びた畜犬票にそっくりな銅製のメダルだったのです。これがあればクロを守れると思い欲しいと言った勇ちゃんに徳ちゃんが出した条件とは……

 

飼い犬と野良犬、どちらが幸せか

序盤早々にこんな文章があります。

しっかりした人間の助けを受けているものと、なんの助けもないものと、どちらがしあわせでありましょう? 

作品の流れからして、この文章には「当然助けを受けているものが幸せである」と続くのでしょう。しかし僕には安全だけれど自由がないものと、リスクはあるが自由なものという対比に感じられたのです。自由とは何かという議論をすることもできるのですが、単純に他人の指図を受けないことと捉えます。そう考えると一概に助けられている方がなんでもかんでも良いとは言えませんよね。勇ちゃんの父親の台詞にはこうあります。

すべて野犬はりこうなものです。だれも、保護してくれるものがないから、自分の気を許さないのです。

 

シンプルだからこそ

童話って子どもでも理解できるように、かなりシンプルにできてます。凝った設定もなければ言い回しもストレートなものが多いです。だからといってその内容が浅いとは言い切れません。かえって一見単純に見える内容だからこそ、想像の余地が残されています。だからこそ大人になって今あらためて童話に触れてみるのも悪くないと感じました。