無職なのに労働について考えさせられてみた(宮本百合子著「いのちの使われかた」)
初めての青空文庫書評ということで、自分も読みやすくみなさんもすぐに読める短い書籍を選びました。
それが宮本百合子著「いのちの使われかた」です。
Amazon.co.jp: いのちの使われかた eBook: 宮本 百合子: Kindleストア
人間は働くためだけに生きてるんじゃない
マルクスが、(中略)君たちの時間は、どう使われているか、ということについて注意をよびおこしたのは、実に意味ふかいことであった。
社会人になって多くの時間を企業に捧げる中で自分が何のために生きているのかわからなくなるという話は、決して珍しい話ではありません。
仕事が楽しくて仕方がない、生きる意味と直結しているとしたらそれは幸福ですが、お金のためだけに長時間拘束されていると感じる人も多いのではないでしょうか。
そんな人に言いたい。ニートになろう!
ん?そういう話じゃない?
本当の男女平等とはなにか
2015年が終わろうとする今になってもなお、男女間差別は大きな問題であり続けています。まだまだ組織のトップを見ると男性が圧倒的に多く、女性は同じ成果をあげても評価されにくいのです。
この本が書かれた1947年はそんな今よりもはるかに問題が深刻だったことでしょう。著者は同じ労働に同じ賃金であっても女性は不利になると述べています。いまだといわゆる主夫もいますが当時は女性が家事をするのは当然ですし、家電も今ほど便利ではないので、元々スキル面で不利になっている女性がスキルアップするための時間もないのです。それゆえに労働基準法の母性保護がかえって女性の社会進出を阻む結果になっているのです。
約70年経っても、完全に解決したとは言えませんよね。
人間らしさを取り戻せ
働くものにとって「時間は人間成長の箱である」けれども、働かせるものにとっては「時は金なり」という矛盾した勤労の関係が存在していることが、今日のわたしたちの悲劇なのである。
そうそう!上司って矛盾するんですよね(無職の意見です)。
「なんでも聞け」と言いながらいざ質問しにいったら「それくらい自分で考えろ!」と怒鳴ったり、それならと自分であれこれやったら「やる前に相談しろ!」と怒鳴る。そういう生き物が上司なんですよ(無職の意見です)。
さて、やはりこの本は時代背景を感じます。いまはそういった経緯もあってかワークライフバランスが声高に叫ばれるようになりました。とはいってもブラック企業大賞なんてものが発表されている現状を見ると、「働かせるもの」の勤労に対する考え方は根強いものがあります。
紙の本にするとたった4ページ程度の書籍なので、みなさんも気軽に読んで改めて自らの、そして社会の「いのちの使われかた」について考えてみてはいかがでしょうか。