本当に恋愛結婚できてますか?(宮本百合子著「生きるための恋愛」)
Amazonのレビューでぼろくそに叩かれていると、逆に興味がそそられますよね。そういう作品を拾ってきました。
宮本百合子著「生きるための恋愛」です。
宮本百合子 生きるための恋愛(青空文庫)
Amazon.co.jp: 生きるための恋愛 eBook: 宮本 百合子: Kindleストア
時代背景の違い
この作品に書かれていることは「愛してる人と結婚しよう。それが幸せだよ」ということになると思います。
現代の僕たちからしてみれば「そんなの当たり前でしょ」と思うことしか書いてません。
しかし女性の立場がまだまだ弱かった時代のことを考えてみると、これを堂々と宣言することこそ必要とされていたのだろうと思います。それが現代に至って当然のことだと言われるようになったのは、著者にとっても本懐だろうと思われます。
いわゆる古典のようなものを除けば、出版物は当然時代に合わせて出るものですし、こういう青空文庫のようなもので読む場合には、やはりバックグラウンドを考えることが重要なのではないかと改めて感じました。
当然のことが出来ているか
先ほど恋愛結婚が現代では当然のことになったと書きました。それはそうでしょうが、果たして真の意味で恋愛結婚をしている夫婦がどれだけになるでしょう。
作中の一節にはこうあります。
(前略)昔の女が、どうせ愛情もなしに結婚するならばちょっとでもくらしの楽な身分のいい相手をみつけようとしてあせったその同じことを、こんどは親の手ばかりわずらわせず自分でさがしまわるということでしょうか。
結婚となると交際とは違ってステータスで選ぶ人は少なくないと思います。しかしそれはいわば言いなりになって条件の良い人と結婚していた時代とほとんど同じ。選ぶ主体が自分になったにすぎないのです。
そういった意味で本当に心惹かれて、恋愛結婚をする夫婦がどれだけいるでしょうか。そういう問いかけにも捉えることができますよね。
夫婦の幸福度
せっかく結婚の話なので「幸せのメカニズム」という新書から、結婚と幸福度の話を引用します。
夫婦の幸福度は子供の誕生後に低下し、子供が独立して家を出るまでそれが続く傾向があるようです。
家族団らんが幸福のイメージとして浮かびやすいですが、幸福度的には低い状態にあると思うと、あんまり暖かな気持ちになれないですね……
しかも既婚と独身の幸福度の差もほとんどなくなってきてるそうなので、もはや結婚のメリットがいまいち感じられないのは気のせいでしょうか。笑