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真のインテリとは何か(中原中也著「作家と孤独」)

作家といえば部屋にこもりきりで孤独な戦いというイメージです。そんな作品かと思わせるようなタイトルですが、そんな話ではありません。

今回の作品は中原中也著「作家と孤独」です。

 

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中原中也 作家と孤独(青空文庫)

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不景気で活力を得る人々

衣食住さへ足りればよい人達は、不景気なれば、尚更ボヤボヤしてはゐられないといふので、景気のよい時よりも当然意志的になるのであらう。

著者はこういった人を間違っていると考えているわけではありません。しかし知的でも芸術的でもないとしています。彼は詩人、つまりインテリですから、まったくこの不景気を歓迎していないのは明らかです。

僕は幸福度でいえば非インテリの方が断然高いのだろうと思います。生活に満足し景気が悪ければがんばろうと意欲的になるのですから。しかし社会全体のことを思うと、発展はしないだろうと言えます。

 

インテリとはなにか

自体インテリがインテリであるためには、衣食住の先のこと、換言れば観念を必要とし、それに就て仕事をする場合にインテリなのである。

衣食住の先のこととは、それより上の豊かさとも考えられますし、未来のことであるとも考えられます。インテリとは現状だけでは良しとせずに、切り拓いていく人ではないでしょうか。それはつねに満足しない人ですから、インテリは幸福ではないのかもしれません。

昨今では単に大学を出ればインテリであるような呼び方をされます。しかし想像力と創造力がある人だけが真にインテリであって、それが無い人はインテリとは呼べないのだと、この作品からは考えられます。

 

ゆあーんゆよーんゆやゆよん

中原中也(なかはら ちゅうや)[1907-1937]で有名なものといえば「汚れっちまった悲しみに……」だと思います。しかし僕が最も印象深いのは「サーカス」ですね。別に考察が云々だとか言うつもりもなく、空中ブランコを表す言葉が頭から離れないのです。だから、中原中也ときくと真っ先に「サーカス」が出てくるのでしょう。